被占領国の改憲とハーグ条約

「ハーグ陸戦条約」
 条約附属書「陸戦の法規慣例に関する規則」第三款

 第四十三条
「占領地の法律の尊重」国の権力が事実上占領者の手に移りたる上は、占領者は、絶対的に支障なき限、占領地の現行法律を尊重して、成るべく公共の秩序及生活を回復確保する為、成し得べき一切の手段を尽くすべし。

前項に述べた様に憲法改正が実際に施行されたのは、交付が昭和二十一年十一月三日、施行が昭和二十二年五月三日となっており、昭和二十一年七月二十五日から八月二十日にかけて「大日本帝国憲法改正案審議」と言う形の委員会が開催され、日本国政府に拠って改憲が為されたと言う体裁を作ってはいるが内情は前項の様に進駐軍の草案を押し付けられた形だけの草案審議であり、実際には連合軍最高司令部に拠り改憲された憲法である。

文頭に記載した「ハーグ陸戦条約」条約附属書第三款第四十三条を御覧頂きたい、占領下の憲法改正は同条約に拠れば「占領地の法律の尊重」という部分に抵触していると考えられる。

国際間の条約は批准していない第三国を「利せず害せず」が大原則であることは既に述べている事であるが、同条約は日米双方とも批准しており、連合軍占領下に於ける「憲法改正」は明らかにハーグ陸戦条約に違反しており、日本政府が現日本国憲法を護持する必要は無いと考えられる。

解り易く言うならば、国際条約に禁止されている事を条約批准している国家が自ら踏みにじり、恫喝により強制的に原案を飲ませ改正させた日本国憲法自体の効力にも問題が在ると考えられる。

当然ながら、これは「憲法改正」以前の問題であり、この様な憲法を六十五年間も後生大事に守り続けており、改正と言うと目くじら立てて反対する輩は、現憲法成立や起案の経緯を如何に捉えているものなのか、其れとも己のイデオロギー宣伝の材料に都合良く利用しているから「改憲反対」を唱えているものかは不明であるが、国際条約に違反して改憲され、我国に対する懲罰的意味合いが濃厚で欠陥だらけの押付現憲法をこれ以上護持する為の合理的理由は見つからないと言うのが我々の結論である。